空気を読み違えたムーニー、秀逸だった新型セレナ

SNSで話題に上がっていたこちら2つのCM動画、観ましたか?

 

まずは、炎上してるという「ムーニー」のCM。

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言葉にならないほどリアル。。。赤ちゃんが泣く原因がわからずオロオロしたり、ご飯を食べながら抱っこしたり、お風呂上がりは赤ちゃんを優先するからほぼスキンケアはできず、しまいに途方にくれるこの感じ。

 

ツイッターでは「こんな感じだったな」とか、「良いCMじゃない」と言う意見もある中、「乳児期のワンオペ時代をフラッシュバックしてうっかり吐きそうになった」等炎上し、概して散々な言われよう。(パンパースは逆に「多様な人たちとの子育て」が描かれており、かなり対照的!というのも話題に。。。)

 

一方、ちょうど同じ時期のSNSで話題に上がっていた新型セレナのCM。

 

orangestar.hatenadiary.jp

 

 

youtu.be

 

試乗会に出向いた3組のファミリー。育児やってますか?という質問に、結構やってます的な回答のパパ陣営。それではママになって1日を体験してもらいましょう!というまさかの展開が始まる。パパは女装までさせられ、いつものママの1日を過ごしてみることに・・・面白いですw

 

ムーニーも新型セレナも、ママを応援するという出発点は一緒だと思う。でも、描かれ方がこんなにも違う。

 

 リアルすぎるぐらいリアルな育児を描き、「1人で抱え込まないで」でもなく、「おつかれさま」と労うでもなく、「その時間が宝物になる」というメッセージのムーニー。現状を受け入れ、応援するよ!頑張れ!と伝えている。

 

一方、新型セレナはパパに体験してもらうことで育児の大変さを描き、ママの気持ちをすくい上げるとともにパパの育児参加とコマを進めている。

その上で、「子育て世代の負担を少しでも軽くする、ひいては家庭に幸福をもたらしてくれるような車なんだよ」とママの肩を持ちながらも、誰にも嫌味にならない形で演出し、車のアピールできてる。

 

ちなみに新型セレナはこんな楽しいCMもある。

 

youtu.be

 

大人も休日を、思いっきり楽しんじゃおう!思わずこちらも楽しくなるようなウキウキするCM。

 

 

 

思うに、ムーニーは刻々と変わりゆく育児にまつわる空気感を読み違えた。昨年、「ワンオペ育児」という言葉が一人で子育てするママの心に刺さり、話題になったように、家事・育児についてママの負担がとかく大きいことはどんどん「見える化」され、課題視され始めている。

 

今は問題だよね、じゃあそれをどう解決していこうか、という「問題の見える化」の段階から「解決策」の方に関心が移っているように思う。

 

もし、このムーニーCMが3年前、サイボウズがこんなCMを出していた時期に流れていたとしたら、まだ炎上はしなかった気がする。

 

youtu.be

 

サイボウズのCMは、それまで働くママの見えない日常を可視化させたことに意義があった。

 

しかも、そのメッセージは「寄り添う」。横からである。決して、「その時間が宝物になる」という上から目線でない。だから共感された。

 

 

先日、本田哲也著「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」を読んだ。

 

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(アマゾンより画像拝借してます)

 

単にターゲットが抱えている課題を、この商品が解決しますよと訴えるのでなく、世の中の関心ごとや空気に落とし込んで、もしくは空気を作ってしまうことの大切さが唱えられてる。(その手法がたくさん載ってて面白いです!)

 

そういう意味で、空気を読み違えたのがムーニー、秀逸だったのが新型セレナだったのだと思う。